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精神疾患のポイントは何ですか?

障害年金は原因疾患によって診断書様式が異なるのはもちろんのことですが、原因疾患特有のつまづきポイントや気をつけるポイントがあります。比較的数の多い精神疾患・肢体の障害・慢性疾患・難病・ガン、それぞれの疾患の主なポイントを簡単にご紹介します。自分の傷病ではどんなことを気をつければいいのかを把握しておきましょう。

Q1 精神疾患のポイントは何ですか?障害年金相談室

Q1 精神疾患のポイントは何ですか?

 

「気分障害ですが、障害年金の受給は難しいでしょうか?」

「そんなことはありません。気分障害も障害年金の対象になると障害認定基準で定められているのですから」

「でも、最近は難しいよということを主治医の先生から聞きました。精神疾患で請求するにあたって、何かポイントはありますか?」

 

精神疾患の傷病名を確認すること障害年金相談室

精神疾患にはたくさんの傷病名があります。たとえば気分(感情)障害だけでも、うつ病・双極性感情障害・反復性うつ病性障害・持続性気分障害・気分変調症など多肢にわたります。加えて、その症状は同一原因でも多様ですから、どんな傷病名が付いているかは、主治医の先生の診断により異なることもあります。そのため、障害年金を請求するにあたり「まずは自分の傷病名を主治医の先生に確認すること」から始めることをお勧めします。
なぜかというと、精神疾患に限り対象外の傷病名(神経症病・人格障害)があるためです。神経症病や人格障害の傷病名では、統合失調症や気分障害などの精神病の病態を示していなければ、原則として、どんなに「日常生活に支障があっても不支給」となります。この取り扱いについては、正直、納得いかない部分ではありますが、そのような運用になっている以上ここでポイントとして挙げざるを得ません。

障害認定基準によると、以下の通り定められています。障害年金相談室

・人格障害は、原則として認定の対象とならない。
・神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症または気分(感情)障害に準じて取り扱う。なお、認定に当たっては、精神病の病態がICD-10による病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮判断すること。
 
ここで論点となるのは、「精神病の病態を示しているかどうか」ですが、仮に精神病の病態を示しているとすれば、なぜその該当する精神病の傷病名とならないのでしょうか。私はこの部分について、素朴な疑問を抱いています。

「ICD-10コード」とは何でしょうか?障害年金相談室

ICD-10とは、世界保健機関(WHO)が作成した分類で、”International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)”のことで、ICD(国際疾病分類)の第10版です。このうち「精神および行動の障害」は第5章です。

ICD-10のうち、障害年金の請求傷病に関連するものとして、以下が挙げられます。

FO 症状性を含む器質性精神障害

F2 統合失調症、統合失調型障害および妄想性障害

F3 気分(感情)障害

F4 神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害

F6 成人のパーソナリティおよび行動の障害

F7 精神遅滞(知的障害)

F8 心理的発達の障害

一方、障害認定基準では、以下の5つのカテゴリーに分けて認定しています。F4(神経症性障害)とF6(人格障害)は、障害認定基準のカテゴリーには入っていません。

A 統合失調症、統合失調型障害および妄想性障害並びに気分(感情)障害(=F2、F3)

B 症状性を含む器質性精神障害(=F0)

C てんかん(=F8)

D 知的障害(=F7)

E 発達障害(=F8)

神経症病とは、具体的には、適応障害、不安障害、強迫性障害、パニック障害などです。気分障害と似た傷病名で「混合性不安抑うつ障害」もF4カテゴリーです。名前が似通っているため、混合性不安抑うつ障害をうつ病と思い込んで裁定請求して、不支給決定を受けて初めて対象外傷病だと知ったというケースも少なくはありません。そういう間違いを防ぐには、障害年金の精神の障害の診断書に、欄「原因傷病」と「ICD-10コード」を必ず記載することになっていますから、ICD-10コード欄も確認しておきましょう。

また、精神の傷病名は、症状が推移したり、診断する医師の判断により異なることがあります。したがって、傷病名がその時により異なっていても(過去に神経症病だったとしても)、現在の傷病名が対象傷病であれば、受給できる可能性はあります。その場合でも、初診日は原因傷病のために初めて受診した日になります。

精神・知的障害に係る等級判定のガイドライン(目安)の運用開始障害年金相談室

平成26年夏頃から障害基礎年金の精神・知的障害の認定において、都道府県による地域差がある旨の報道があり、厚生労働省と日本年金機構が調査を行なった結果、実際に大きな地域差があることが確認されました。
たとえば、もっとも認定が甘い栃木県の不支給割合は4%(100人のうち4人のみ不支給)であるのに対し、もっとも認定が厳しい大分県の不支給割合は24.4%(4人に1人が不支給)であり、不支給割合でみると6倍も違います。

障害基礎年金は都道府県ごとに認定していることから、その認定に差があることは以前より実感としてありましたが、この大きな地域差には驚くばかりです。そこで、この都道府県の地域格差を解消する目的で、厚生労働省において専門家検討会が平成27年2月から7月にかけて6回開催されました。

専門家検討会でとりまとめた「等級判定のガイドライン」を簡単に説明すると、以下の2つのステップで等級判定されることになります。

〈第1ステップ〉
精神の診断書裏面の「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」を数値化して、目安に沿って該当の等級に振り分けます。この振り分け作業は、日本年金機構の事務方が行ないます。この段階で、従来であれば通っていたのに落ちてしまう人(認定のやさしい県などの人)も現れるかもしれません。

〈第2ステップ〉
次に、専門家検討会で新たに作成する「総合評価」を元に、認定医の先生が診断書などを読み込んで、等級の最終決定をすることになります。この「総合評価」により、気分障害(うつ病など)2級のハードルがグッと上がる可能性もあります。

いずれにしても、総合評価の部分で、精神障害の認定のハードルを上げることもできるように調整していくことでしょう。
精神・知的障害の割合が障害年金全体の66.9%を占めている現状で、支給抑制がなされるとしたら、この部分ではないかと心配しています。
都道府県の地域差の中で認定が厳しかった県は多少は緩和されることが期待されますが、一方で、認定がやさしかった県は更新時に降級もあることが懸念されます。
さらに、総合評価の中で気分障害の「考慮すべき要素」の記載事項により、気分障害については将来的に認定が厳しくなる予感がします。
等級判定のガイドラインの詳しい資料は、厚生労働省のホームページで公開されていますから興味のある方は内容を確認してください。ガイドラインの運用開始時期は、現段階(平成27年8月)では正式には決定していませんが、平成28年早々かと思います。

【精神疾患のポイントのまとめ】
1 精神の障害には、原則として対象外の傷病名(人格障害・神経症)がある。
2 「等級判定のガイドライン」がとりまとめられ、近い将来に運用が開始される。


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