肢体の障害のポイントは何ですか?障害年金相談室
脳梗塞後に半身麻痺が残りました。
障害の等級に該当するのかどうか……。
とりあえず診断書を主治医の先生へ渡したら、指定医でないから書けないと言われました。
障害年金の診断書は、肢体の障害も含めて医師であれば書くことができます。相談者の主治医の先生は、身体障害者手帳の指定医でないと障害年金の診断書も書けないと理解されているようですが、障害年金の診断書にはそのような制限はありません。ただし、指定医の先生であれば、計測も含めて診断書の作成に長けていることでしょう。
診断書には整合性が求められるので注意したい障害年金相談室
肢体の障害の場合、初診日は自宅や職場近くの整形外科であったり、交通事故であれば救急搬送された病院であったりするので、初診日の証明については比較的難易度は低いかもしれません。ただし、リウマチなどの慢性疾患は初診日の証明が難しくなることもあります。また、難病で肢体に障害が出ている場合も、初診日の証明が難しいです。問題となるのは肢体の障害の診断書です。
肢体の診断書は書き方も難しいし、読み方も難しいと私は思います。ポイントとなる箇所が数箇所あり、それぞれに整合性がとれていないと、診査の過程で返戻されることがあります。障害認定基準の内容の理解も難しい部分です。
診断書の整合性は、主に以下の3つの部分をみます。障害年金相談室
・切断または離断・変形・麻痺の部位など
・関節可動域(計測が必要)と筋力
・日常生活動作の障害の程度
障害の部位がどこで、どのくらい関節可動域や筋力に制限があって、そのために日常生活動作の障害の程度がどれくらいか、ということが診断書に適切に表現されていないと認定医の先生も混乱するのではないかと推察します。
たとえば、脚や腰の筋力が半減であれば立ち上がる動作は不自由になりますし、手や指の関節可動域の制限が大きければタオルを絞ったりボタンを留めるなど細かい動作は不自由になります。整合性のチェックは、それぞれの症状により異なります。
日常生活動作は補助用具を使用していない状態で評価してもらうこともポイントです。それから、日常生活動作は結果的にはできるけれど、すごく時間がかかるということもあります。たとえば、洋服のボタンを留めたり、ズボンを履くのに15分かかるとすれば、結果的にできるから「できる」ではなく、日常生活動作の評価として考えるなら、「一人でできるが非常に不自由」ではないかと考えます。
もちろん、原因となった傷病名が何かにより、上述の3つのうち、どこに重点を置いて診査するかも異なります。全身に障害が現れる傷病と下肢や上肢のみの傷病とでは、障害認定基準が異なるからです。
たとえば、先天性の一上肢のみの障害の場合、手や指の関節可動域制限は大きいけれど、それに慣れていて日常生活動作はなんとかこなせるということもあります。そのため、上肢や下股だけの障害の場合は、関節可動域と筋力に重点をあてて診査する旨が障害認定基準で定められています。
【肢体の障害のポイントのまとめ】
・初診日の確定は比較的容易である。
・診断書の整合性が一般的に難しい。